本日ご紹介するのは、旧リアルマッコイズの1992年製A-2 RWA-92です。
ペンシルベニア州、ミドルタウンにあったROUGH WEAR社製(ラフウェア)A-2の大戦中期に生産されたタイプをデュプリケーション。
襟付けが高い大型の襟はROUGH WEAR社製の特徴とされています。
それではスペックを確認していきましょう。
【The REAL McCOY’S】 ザ・リアルマッコイズ
【The Real McCoy’s】=「正真正銘」「本当の本物」アメリカのボクシングチャンピオンKID.McCoyを同名の選手と区別するために生まれた俗語。
アメリカンミリタリーやワークウェアのアイテムを高度な再現技術で製造。
ヴィンテージアメリカンカジュアルウェアのディテールや素材にこだわり、当時のクオリティを再現することを目指している。
アメリカンミリタリーの歴史やデザインに敬意を払いつつ、本物の雰囲気を再現したフライトジャケット、デニム、ワークパンツなどのアイテムを展開。
ファッション愛好家やコレクターから支持を受け、高品質なアメリカンカジュアルウェアを提供している。
We felt some kind of frustration. That was the beginning. Market is flooded with so many products, and people seems to enjoy abundance. But haven’t we all be blinded by the showiness of those things? Just say “NO!” to them. Now is the time to seek a “Real thing.”
That’s why we have developed this new “Ultimate.” It’s born out of our relentless search for authenticity even without considering the cost. Material is truly authentic. We never compromised in detail. That is the policy we stick to in making any product.
Now why don’t you open the box? We can promise that the minute you open it, you’ll find a new life style.
Yes, it’s our pride!
【History】 歴史
1987年、イラストレーターの岡本博が当時の仕事先である雑誌POPEYEの特集において、限定300着のA-2フライトジャケットを制作し販売、予約時点で完売という大反響を受けて翌1988年に会社ザ・リアルマッコイズ・ジャパン (旧リアルマッコイズ)を興す(1990年法人設立)。
設立当時には現フェローズ代表の志村昌洋もスタッフに名を連ねていた。
その後、フライトジャケットの復刻ブランドとして名を上げ、1997年にはジョーマッコイを誕生させ、ジーンズ業界に本格的に参入を果たす。
しかし2001年、手形の詐取が原因となり、同年6月16日、東京地方裁判所へ民事再生法を申請し倒産した。負債総額は2000年5月の時点で約11億3000万円。
翌年、兵庫県神戸市の特約店 NYLON (ナイロン) が後を引き継ぎ、ザ・リアルマッコイズ・インターナショナル (現リアルマッコイズ) として現在に至る。
引用:『ザ・リアルマッコイズ』2023年3月17日 (金) 12:54 (UTC)ウィキペディア日本語版
A-2 RWA-92S REAL McCOY Mfg.CO. 1992s
- 製造年:1992年製(126/150)
- メインマテリアル:牛革
- タンニング&フィニッシュ:植物タンニン+クローム鞣しの混合鞣し、顔料染めの後。スプレー着色、仕上げに撥水コーティング
- ライニング: コットン100%ブロードクロス
- ニットパーツ:カフス&ウエストバンド メリノ種ウール100%、1930年米国MIL規格に準じる針寸、釜系、針数
- サブバーツ
ドットボタン:真鍮製GOVERNMENT BALACKフィニッシュ
ネックフック:真鍮製クロームフィニシュ
ツインアイレット:真鍮製
- ジッパー
テープ:オールコットン製3/4インチ
スライダー:真鍮製MIL規格
- サイズ:36
- 実測値(素人採寸の為、多少の誤差あり)
肩幅:43cm
身幅:48cm
着丈:60cm
袖丈:62cm
※不確かな情報は掲載しないように心がけておりますが、もし間違った情報に気づかれた方はコメント欄より教えていただけると幸いです。
- Materials
Cowhide (tanned+chromed base is dyed)
spray-painted and finally waterproof-coated for finishing.
- Lining
100% cotton
- Knit parts
Cuffs and waistband: 100% wool
- Metal Parts
Dot buttons: Brass-made, government black-finished
Neckhook: Brass-made, chrome-finished
Zipper tape: 3/4-inch 100% cotton
Slide: Brass-made,
【Detail】 ディテール
レザーカラーは黒に近いシールブラウン。
襟は台襟あり。ドットボタンは外して着るのが”粋”とされていました。
フラップポケットにも同様のドットボタン。頑丈ではめるのに結構力がいります。
本A-2の左側面。
左肩にはエアフォースマーク。
エポーレットの奥を見ていただくと、ステッチが襟に巻き込まれています。
これはサイズごとにエポーレットのパターンを変えるか否か、によるものですが、今回のA-2に関しては全サイズ共通のエポーレットを使用することで起きた事象、を再現しているわけです。
見過ごしてしまいそうですが、マッコイズのさりげないこだわりです。すごいw
両脇下には通気性を確保するためのツインアイレット。
袖と裾には厚手のウールリブを使用。虫に食べられやすいので、保管の際は防虫剤必須。
裏地は表と同色系のコットンブロードクロス。
首裏に縫い付けられたツインラベル。
今回ラフウェア実名復刻ではないため、ラベル内にROUGH WEAR CLOTHING CO.の刺繍はありません。
ツインラベル(二段ラベル)とは
1942年の途中から『Property Airforce』の表記が義務付けられたため、二段のラベルを重ねて縫い付けるツインラベル(二段ラベル)が誕生しました。
前立裏には小さなエアフォースマーク。
裾あたりにもステンシル。この位置にあるのはちょっと珍しくて、私が所有している数あるA-2の中でも、この位置にステンシルがしてあるのは(確か)これだけだったと記憶しています。
当時ラフウェアが製造していたA-2も、ステンシルの位置がここだったのかもしれません。真偽は不明。
ジッパーはニッケル仕上げ。MCCOYとUSAの刻印。
【Accessories】 付属品
- 真正性証明書(COA) シリアルナンバー126/150
- 5周年の手紙
- オーナーズガイド
- アンケートはがき。
【Package】 化粧箱
1992年〜1993年はこのオリーブカラーのパッケージが使用されています。
【What is A-2】 A-2とは
A-2はそれまでのA-1に代わり、1931年5月9日に陸軍航空隊に採用されました。
区分はライトゾーンetcの表記はないものの、当然のことながら夏期用のフライトジャケットです。
このA-2の採用された当時は、依然としてカーチス・ホークなどのオープン・コクピットの機体が多かったため、防寒性よりも防風性を重点に開発されました。
その一例が、襟を留めておくボタンであり、ホイッスルフックと呼ばれるフックも付いていました。
ウインド・フラップも内蔵タイプではなく、ジッパーを上から隠してしまうタイプでシンプルなスタイルとなっています。
材質は初期にはホースハイド(馬革)を使用していましたが、第二次世界大戦が進むにつれ、ステア、カウ、そしてゴートスキンまでが使用されました。
さらに、兵士の増員に伴う大量生産が求められた結果、コントラクター(納品業者)も増加します。
コントラクターにはラフウェアやペリースポーツ、エアロレザーなど、分かっているだけで十数社存在します。
各社はミルスペックを元にA-2を製造するわけですが、材料の調達状況や現場の解釈などにより、仕上がりに微細な個性が生まれます。
襟の形状、ポケットのカーブや配置、レザーの発色など、それは横に並べて比べてみないとわからないようなささいな個性です。
しかし、そのささいな個性が今日のA-2フリークのマニア心をくすぐる要因となっています。
そんなA-2は時代の流れとともにナイロン生地を使用したL-2にその座を譲ることになります。
A-2自体は1944年に生産が中止されますが、1987年アメリカ空軍40周年の年に復活を遂げます。
復活第一段はAVIREX社が担当し、200着を製造しました。
A-2は現在も引き続きアメリカ空軍に供給されており、民間では様々なメーカーが当時のままに忠実な復刻を試みるなど、MA-1と並ぶ人気のフライトジャケットとして愛されています。
【Rough Wear】ラフウェア
A-2といえば『ラフウェア』
と言っても過言では無いほど人気のコントラクターで、A-2を計5回の納入を果たします。
ちなみにラフウェアが作るA-2は、大ぶりな襟とスッキリとした都会的なシルエットが特徴です。
通常は前立の部分を計算して左右で非対称の型紙を製作するわけですが、ラフウェアは左右同じ型紙を使っていたようで、それにより前立が重なる分だけ身幅がスリムな仕上がりとなったのです。
脇の縫い目が近い→
そのせいもあってか左右でポケットの位置が違うのもラフウェア製A-2の特徴と言えます。
これを知っておくと、街や店頭でポケットの位置を見てニマッとできるわけですねw
マッコイズでは、ラフウェア実名復刻のA-2はこの辺りも忠実に再現されており、いい意味で変態っぷりが伺えます。
ちなみに今回紹介したA-2はそこの再現はされていませんでしたが、製造されていた年代によって違ったりするので、あえて省いた可能性もありますが、真相はいかに。
【Making of A-2】 A-2の製作
【Horse Hide】 馬革の魅力
衣料用の皮革としてもっともポピュラーな物は牛革です。 大判で厚みのある素材としてあらゆる製品に適しています。
しかし、その強度で牛を凌駕するのが馬なのです。馬の繊維は緊密で強靭です。 同一の鞣し(なめし)をした同じ厚さの牛皮と比べるとはるかな強度を持つと言われます。
そして臀部(でんぶ)には超高級素材のコードバンを有しています。
また牛革は使い込むと全体的にやわらかく、表面も粗くなっていきますが、馬革は年月経過により、表面に独特の艶を帯び輝いてきます。
さて、皮は鞣されてはじめて革になるわけですが、この時点での基本作業がその皮革の善し悪しやグレードをすべて決定してしまいます。
その後の着色や仕上げはあくまで二次的な要素で、基本鞣しが革の生命といえます。
馬の特徴はその強靭な繊維と、しなやかなでスムースな銀面(表面)にあります。
それらの長所を生かしながら基本鞣しを成功させるには、高い技術力が必要とされます。
馬は活発で毛足が短いことから原皮には傷も多く、メーカーにとってはハイリスクな素材です。
牛皮ほど表面層の厚くない馬の原皮はある意味でごまかしがきかない素材なのです。
しかし、その分牛革に比べロングライフの馬革は、1930年代から50年代にかけて、アメリカではホースハイドのジャケットが多く存在しました。
レザージャケットに実用性を重んじる時代、タフな素材の馬革をA-2のメインマテリアルとして軍が使用を決定したのは当然の結果と言えるでしょう。
McCOY’S A-2 ジャケットに用いられたホースハイドは北米産の馬を原皮としています。
これらは僅か7%までに厳選された原皮を、特殊なレシピ(クロームとタンニンの混合)を持つ基本鞣しを施しています。
一切の見栄えのためのパンプアップ加工や(鞣し作業の一過程で石灰質を投入し革の厚みを揃える)、銀擦り加工(表面を削って傷を見えなくする加工)、プリント加工(革の表面を模した型押し)は行っておりません。
つまり徹底的に100%マテリアルの素質を生かした贅沢な手法によっています。
トップ仕上げのエマルジョンラッカーやアニリン塗料は真正の銀面の上にスプレーされているものです。
よって、革のしわや小さな傷は、まっとうでタフな馬革である誇るべき話しといえます。このようにしてできあがるホースハイドは100着分を揃えるのに7ヵ月間を要します。
【Cutting】 裁断
McCOY’SがA-2を製作するにあたって選んだ方法は、通常の量産ラインを避け、熟達した革職人チームを編成することでした。
ほとんどの工程がハンドメイドになり、それにつれコストもアップしますが、すべてにおいて最高なA-2を完成させるためには必要不可欠なことでした。
まず馬革は工場にて、2ヵ月から3ヵ月梱包時のロール癖を直し塗料絞めをするために、適温適湿のストックルームで寝かされます。
その後いよいよ生産スタッフによりカッティング作業に入ります。
型抜きは太陽光にあふれたカッティングルームにてダメージをチェックします。
そこでは不適格な部分は惜しげもなく切り捨てられます。この贅沢な基本作業がその後の製品のロングライフを決定します。
次に革の色合わせがなされ、いよいよカッティングです。
細分化されたA-2のそれぞれのパーツの型紙を置き、クラフトマンがハンドカットしていきます。
その際は革の方向や伸び、着用時のテンションなどを計算したMcCOY’Sスペックによる厳しいカット作業が行われます。
ホースハイドはこのようにしてパーツに切り分けられ、いよいよ縫製セクションに回されます。
【Sewing】 縫製
McCOY’S A-2を縫製するミシン群やボタンの打ち機は、大部分が当時の軍規格のものです。
縫製に当たっては当時のレベルを踏襲するために、コンピューターミシンなどの使用を敢えて避け、すべてがアナログミシンにて行われることが当時の風合いや味を再現し得ると信じるからです。
切り分けられたパーツは、ミシンの前でマシニストによってチェックされ、いよいよ縫製作業に入ります。
ここではそれぞれのスタイルのA-2のスペックに従い、数十にも及ぶ工程を経て、縫い上げられていきます。
そのスペックはMIL規格をさらに厳格にしたもので、細部のステッチやシームの目数まで及びます。
こうした生産方法は通常のライン生産に比べると倍近い時間が必要とされます。
当時と同様に一人一人のマシニストが一着一着を責任生産して、A-2は現代に蘇っていくのです。
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