本日ご紹介するのは旧リアルマッコイズ1995年製のB-3です。
この年は、B-3などシープスキンを使用したフライトジャケットを『ORIGIN』、『MERINO FLEECE』、『CLASISC』の3つのレーベルに分けて展開しており、今作はその中でも一番ベーシックなTHE ORIGIN LABEL(オリジン)の一着です。
オリジンは『最適な素材に優れた縫製を融合させ得た製品群』で、高品質かつリーズナブルな価格帯を目指すマッコイズの新しい挑戦とされています。
価格は税込169,950円(1995年当時の消費税は3%)と、20万オーバーが基本だった旧リアルマッコイズのB-3の中では比較的お求めやすい価格だったと言えるでしょう。(それでもまあ高い…。)
とはいえど、さすがマッコイズといって感じの重厚感とクオリティで、確かな満足感を得られる一着に仕上がっています。
それでは詳細なスペックを見ていきましょう。
The REAL McCOY’S【ザ・リアルマッコイズ】
【The Real McCoy’s】=「正真正銘」「本当の本物」アメリカのボクシングチャンピオンKID.McCoyを同名の選手と区別するために生まれた俗語。
アメリカンミリタリーやワークウェアのアイテムを高度な再現技術で製造。
ヴィンテージアメリカンカジュアルウェアのディテールや素材にこだわり、当時のクオリティを再現することを目指している。
アメリカンミリタリーの歴史やデザインに敬意を払いつつ、本物の雰囲気を再現したフライトジャケット、デニム、ワークパンツなどのアイテムを展開。
ファッション愛好家やコレクターから支持を受け、高品質なアメリカンカジュアルウェアを提供している。
We felt some kind of frustration. That was the beginning. Market is flooded with so many products, and people seems to enjoy abundance. But haven’t we all be blinded by the showiness of those things? Just say “NO!” to them. Now is the time to seek a “Real thing.”
That’s why we have developed this new “Ultimate.” It’s born out of our relentless search for authenticity even without considering the cost. Material is truly authentic. We never compromised in detail. That is the policy we stick to in making any product.
Now why don’t you open the box? We can promise that the minute you open it, you’ll find a new life style. Yes, it’s our pride!
History【歴史】
1987年、イラストレーターの岡本博が当時の仕事先である雑誌POPEYEの特集において、限定300着のA-2フライトジャケットを制作し販売、予約時点で完売という大反響を受けて翌1988年に会社ザ・リアルマッコイズ・ジャパン (旧リアルマッコイズ)を興す(1990年法人設立)。
設立当時には現フェローズ代表の志村昌洋もスタッフに名を連ねていた。
その後、フライトジャケットの復刻ブランドとして名を上げ、1997年にはジョーマッコイを誕生させ、ジーンズ業界に本格的に参入を果たす。
しかし2001年、手形の詐取が原因となり、同年6月16日、東京地方裁判所へ民事再生法を申請し倒産した。
負債総額は2000年5月の時点で約11億3000万円。
翌年、兵庫県神戸市の特約店 NYLON (ナイロン) が後を引き継ぎ、ザ・リアルマッコイズ・インターナショナル (現リアルマッコイズ) として現在に至る。
引用:『ザ・リアルマッコイズ』2023年3月17日 (金) 12:54 (UTC)ウィキペディア日本語版
Heavy Winter Shearing Flying Jacket
- 製造年:1995年製
- メインマテリアル
南アフリカ・ケープホーン産メリノ種シープスキン - コーティング
撥水作用のある下地剤を塗布したベースに、ダークブラウンのポリアクリル塗料をスプレーペイント。その後プレスをかけ、最後には防水透明ラッカーにてコーティングを施し仕上げ。 - レザーパーツ
腕の充て革とパッチポケット、そして縫い目を補強するテープは全て強靭な北米産マスタングハイド(馬革)。カラーストラップ、サイドアジャスターベルトには、乗馬の鞍に使われる強固なブルハイドベンズサドルレザーを使用。これらのベルト革にも植物鞣しを施している。 - 金属パーツ
バックル:真鍮製・ニッケルフィニッシュ、またはクロームフィニッシュ。
ドットボタン:米国R.A.U. 社製ミリタリー仕様 【Government Black】コーティング
ジッパー:AN-F-16規格のジッパーは、真鍮、ニッケル、アルミ、鉄のレールにコットン、あるいはナイロンの混紡テープを使用。テープはカビ止め剤を塗布し、スライダーにはインターロック機構を有す
- 縫製
慎重にハンドカットされたマテリアルを、熟達したミシン職人の選抜クルーにより、当時と同じ手法(一人の職人が一着を責任生産していく手法)で製作。
- サイズ:36
- 実測値(素人採寸の為、多少の誤差あり)
肩幅:47cm
身幅:50cm
着丈:60cm
袖丈:63cm
不確かな情報は掲載しないように心がけておりますが、もし間違った情報に気づかれた方はコメント欄より教えていただけると幸いです。
Detail【ディテール】
Accessories【付属品】
Package【化粧箱】
無し。
What is B-3【B-3とは】
B-3は第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空隊(USAAF)のパイロットが寒冷地での飛行に備えて着用するために開発された航空服です。
主にシープスキン(羊革)と羊毛のライニングで作られているのが特徴で、これらの素材は寒冷な環境で十分な保温性を提供し、パイロットが驚くような寒さから身を守るのに適しています。
基本はA-3トラウザースと共に着用し、1934年5月8日 U.S.ARMY AIR CORPSによって正式採用されました。
B-3は兵士達の意見やテストの結果、型紙の改正はもちろん、それぞれのパーツの毛足の長さまでモ二ターをとり、文字どおり進化していきました。
そして、1930年代の終わりにはボディの表面処理が大きく変更されることとなります。
それまでのB-3は革自体はスムースで、しなやかなムートンですが着色のみの表面では、水分やガソリン、オイルそして汚れなどの影響を受けやすいとの欠点がありました。
それを解決するために考案されたのが表面をまるごとコーティングしてしまう方法です。
まず、下地剤を塗布した表面にシールブラウン色のポリアクリルの革塗料をスプレー吹きし、最後にはラッカーを吹き付けて仕上げます。
これにより、革へのダメージを最小におさえるコーティングが完成しました。
この方法は自然な仕上げに比べて重量が増す代わりに、耐久性は数段優れていました。
また、左右の裾と衿の後ろに縫い付けられた分厚いベルトとバックルは、寒風をシャットアウトする際にグローブをはめたままでも調節できるように考案されています。
他にも、確実に取り外しができるドットボタンや、両腕の充て革、チャートやブリーフィングシートを入れるパッチポケット、パーツによって違う長さにカッティングされた毛足など、オリジナルスベックは当時の開発スタッフの英知の賜物でした。
オリジナルのB-3は大戦中 【空飛ぶ戦闘服】として大空を舞台に大活躍をしたのです。
B-3はA-2とともに、彼らのシンボリズムジャケットとして愛用されていましたが、1943年海軍との共同標準化を狙い採用されたAN-J-4ジャケットにバトンタッチすることになります。
ちなみに、B-3の中でも背中が二分割されているものは前期型、三分割されている物は後期型に当たります。
Sheep Skin【シープスキン】
今回紹介したB-3には、南アフリカ・ケープホーンの広大な高原で育ったメリノ種のシープスキンが使用されています。
その中でもフライトジャケットの素材に適している直毛で革厚な原皮を厳選。
それらは100枚中4枚しか存在せず、つまり4%の素材を厳選することになるのです。
それらの原皮は海路にて6700キロ離れた南ドイツに運ばれます。
そこで世界最高の鞣し技術を誇るドイツのタンナーによって、クローム鞣しを施されます。
ウールはイエローベージュに着色され、4種類の長さに狩り分けられ、最後にワックスを施しながら毛先をポリッシュして基本的な革材に仕上がるのです。
Precare【新品のB-3をこなれた感じに演出する方法】
まず新品状態で、一度オイルを塗ります。 全体が柔らかくなるまで各部を揉みほぐします。袖に腕を通し、動かして何度も折りジワをつけます。
取り付けられたそれぞれのパーツのコバ (革の切断面の白い地色が見える部分)には、オイルや適当な色の靴墨などを塗ります。
これだけの作業ですが、何度か繰り返しますと新品のB-3が見違えるほどこなれた風合いになります。
ただし程々に。
Maintenance【シープスキンのメンテナンス】
シープスキンの特徴はレザーと違い、裏使いされている点です。
そのため着用する上での最大の相違点は、その扱い方法やアフターケアにあるといえるでしょう。
革の銀面を生かすレザーは、多少の擦れなどには対応できますが、裏使いされているシープスキンはコーティングがなされていても強いとはいえず、あまりな手荒な着方は避けた方が良いでしょう。
また、雨や湿気がジャケットに吸収され、そのまま放置してしまうとバクテリアの発生を促す結果となります。
そのため濡れた場合は、吸湿性の良いタオルなどで全体の水気を吸い取り、形を整えてから通気性の良い場所で陰干ししてください。
もし、カビが発生してしまった場合は濡らした布を固く絞ったもので早めに拭き取り、陰干ししてください。
革には革自体が持っている脂と、鞣しの時に加えられる油分があります。
革をいつもベストコンディションで保つには適度な油分補給が必要です。
それに水分から革を守るためにも定期的な油分の補給は有効といえます。
そういったことを踏まえるとシープオイルを定期的にするのが最適です。
手の平に延ばしたオイルを薄くジャケット全体に塗り込み、延ばしてください。
オイルを塗り終えましたらそのまま通気性の良いところで一昼夜ほど置き、翌日余分なオイルを乾いた布で拭き取ってください。
オイルを塗る際、カラーストラップやアジャスターベルトの裏側にオイルを塗ってしまうと革にオイルが染み込んで変色しますのでご注意ください。
また、水に濡れてしまった場合の油分補給は完全に乾き切らない内にやや多めのオイルを塗ってください。
ウールの側も定期的なブラッシングをお勧めします。
汚れが目立ち始めたら染み抜き用のベンジンを布に含ませ、軽く叩くようにウールに付けます。
汚れが浮いてきたら乾いた布で拭き取ってください。
また、 軽い汚れなどはシープファー・クリーナーをお勧めします。
その場合は取り扱い説明書をよく読んで行ってください。
Cleaning【シープスキンのクリーニング】
シープスキンの魅力は、ゴージャスな羊毛で空気を取り込み、体温を逃さない優秀な性質にありますが、レザーに比べて耐久寿命は一歩劣ります。
またポリアクリレイト・ラッカーフィニッシュという大戦当時と同様のコーティングを施してありますが、擦過が多い部分(裾と袖が干渉しあう部分など)や、運動量の激しい部分(肘部分など)はコーティングがひび割れ、剥離してきてしまいます。
その際にはリコーティング剤を布などで塗布してください。
コーティングの再塗装は水分から革を守るだけでなく、革自体の表情を強調させ、ジャケット個性を増幅させます。
レザークリーニングはあまりお勧めいたしません。
汚れは落ちますが革独自の風合いが損なわれる場合があります。
もしクリーニングが必要な場合は、信頼できるドライクリーニングを施すお店でご用命ください。
表面のコーティングに影響が出た場合はリコーティングしてください。
また着用後、ジッパーレールの摩耗で口が空いてしまう場合や、エンドテープの切れが生じた場合は、リペアキットでジッパーを交換してください。
このようにメンテナンスや補修をしながら着続ければジャ ケットは貴方の良き相棒となるでしょう。
そして、なによりのメンテナンスは貴方自身がこのジャケットを着続けることと言えますが、汗や湿気を吸わせた後の休息も必要です。
靴の寿命に例えると、履かれなければ短命だが、毎日履き込むのも短命だ、ということと同じです。
あの時代、飛行士たちを包んだシープスキン。
時代は移り、もはやフライトジャケットとして大空を舞う日はないでしょう。
しかし、このジャケットをお選びになった貴方によって、このジャケットは新しい主と新しい使命を担わされたのです。
ぜひ、ジャケットの魅力をご堪能ください。
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