本日ご紹介するの、アルファのMA-1です。
ミルスペック末尾は「E」でシンプルなフロント、オレンジの裏地、フラップポケットが特徴。
ちなみに今回紹介するMA-1は1990年代前半の民間支給品(レプリカ)で、一般に流通していたモデルになります。
ただ1990年代でここまで状態が良いのも珍しいかと思いますし、レプリカを詳細に紹介しているブログもあまりなさそうなので、今回紹介することにしました。
オークションなどでオリジナルとレプリカを混同して購入しないよう参考にしていただければ幸いです。
それではスペックを確認していきましょう。
【ALPHA INDUSTRIES】アルファインダストリーズ
ALPHA INDUSTRIES(アルファインダストリーズ)は、1959年にアメリカ・テネシー州ノックスビルで設立。
当初はアメリカ国防総省の契約を受け、軍用ウェアを生産する企業としてスタート。
特に1960年代から70年代にかけて、アメリカ空軍や陸軍向けに数百万着のジャケットを製造し、そのクオリティと信頼性で評価を得る。
代表的な製品には、MA-1やM-65、極寒地用のN-3B。
これらのアイテムは、軍用品としての機能性を重視して開発されたが、その高い耐久性と洗練されたデザインが注目を集め、1980年代以降、一般市場にも展開されるようになる。
アルファインダストリーズは、ミリタリーの本質を維持しながらも、現代のストリートファッションに溶け込むスタイルで人気を博している。
現在では、日本をはじめとする世界中で愛され、多くのファッションブランドやアーティストとのコラボレーションも手掛けている。
ミリタリーウェアのアイコン的存在として、アルファインダストリーズは60年以上にわたって進化し続け、機能性とファッション性を兼ね備えたブランドとしてその地位を確立。
MA-1 MIL-J-8279E
- 製造年:1990年代前半
- ジャケットスペック:MIL-J-8279E
- アウターシェル:ナイロン100%
- インナーシェル:ナイロン100%
- インターライニング:ポリエステル100%
- フロントジッパー:IDEAL社
- ポケットジッパー:IDEAL社
- サイズ:X‐Small
- 実測値(素人採寸の為、多少の誤差あり)
肩幅:43cm
身幅:54cm
着丈:57cm
袖丈:62cm
※不確かな情報は掲載しないように心がけておりますが、もし間違った情報に気づかれた方はコメント欄より教えていただけると幸いです。
- Jacket Spec:MIL-J-8279E
- Outer Shell:Nylon100%
- Inner Shell:Nylon100%
- Inter Lining:Polyester100%
- Front Zipper:IDEAL Co.
- Pocket Zipper:IDEAL Co.
【Details】ディテール
MA-1といえばこのくすんだセージグリーンのナイロン素材。
MIL-J-8279Eは、オキシジェンタブやコードループ(機内通話装置を固定するためのループ)は省かれたシンプルなデザイン。
その2つのディテールはMA-1の2代目、MIL-J-8279Aまで採用されていました。↓
ポケットはフラップ式。
こちらは1969年、MIL-J-8279Eになってから採用されます。
左のポケット内にラベル。リバーシブルで着用するのを想定しているため、表から見えないこの位置に配置。
ラベルについては後述します。
ポケットの袋布はナイロンまたはレーヨンにウールを二重織りしたナップバック (裏起毛したもの)素材。
ハンドウォーマーの役割も。
側面。MA-1の特徴の1つ、シガレットポケットが付いた左腕。
ファスナーはIDEAL製。
4つのペンポケット。ペンポケット2箇所にはプラスチック製のペンキャップ。
ウールリブはレプリカというこで、オリジナルに比べるとやや薄手。
ただし、普段着としての性能は問題無く、防寒性は十分かと思います。
ライニングは国際救難色のインディアンオレンジのナイロン。
ウィンドストッパーの形は円。
ミルスペックの末尾にアルファべットがつかない最初期は直角。
内ポケット。
オリジナルに比べるとポケット布のコットンはやや貧弱な印象。
IDEAL製のジッパー。
引き手が2つあるリバーシブル仕様。
【Accessories】付属品
ポケットに紙タグが入っていました。
レプリカの特徴(オリジナルとの違い)
レプリカと判別するには、ラベル(タグ)を確認するのが一番手っ取り早いです。
レプリカのラベルの特徴は大きく1つ
- MADE IN U.S.Aの記載がある
これが一番確実です。
契約番号やクリーニングの表示なども判断の材料になりますが、それはレプリカでもあったりなかったりで様々なので、確実に判断するには他の要素も必要になってきます。
その辺はこちらで非常に詳しくまとめていらっしゃるので一度ご覧いただければと。
もしオークションなどで出品画像にラベルの掲載がない場合はかなり怪しいのご注意を。
あと、古いものになるとラベルがかすれて文字の判別ができない場合がありますが、その場合はデザイン等で判断するしかありません。
年代ごとのデザインの違いはこちらで詳しくまとめてくださったブログがありますのでぜひご覧ください。
実物を見れる場合は使っている素材や重量なんかで判断することも可能です。
なんにせよ、オリジナルの軍物を購入される際は、信頼の置ける店舗や出品者から購入されるのが望ましいです。
今はレビューや評価でその店をある程度判断することができるので、一度チェックしてみるのがよいかと思います。
【What is MA-1】 MA-1とは
1953年3月27日に『MA-1』は正式に使用可能と宣言されました。
そして素材、機能など開発スタッフの英知が込められたMA-1は、20数年という長期に渡って飛行士たちに愛用されるフライトジャケットとなるのです。
そんなフライトジャケットの最高峰とも言えるMA-1は、B-15シリーズを起源として新たに誕生しました。
B-15はDタイプまで存在し、B-15D MODとMA-1は見た目が酷似しています。
(※MOD=Modifiedの略。ムートンからウールの襟に改修したモデルのこと)
B-15D MODにはネイビーとセージグリーンのアウターシェルが存在し、セージグリーンになるとMA-1との違いはほぼないと言っても過言ではありません。
見分ける確実な方法としてはタグを見ることぐらいでしょう。
MA-1自体は幾度となくマイナーチェンジが行われ、ミルスペック「MIL-J-8279」を皮切りに8279Gまで、全部で8タイプが存在します。
ちなみに「MA」は「Military Aviation」(軍用航空)の略とのことですが、これに関しては諸説あります。
国際救難色のオレンジ
さて、MA-1を思い浮かべると、パッと出てくるのは国際救難色「ブライトインディアンオレンジ」のライニングかと思いますが、実際のところ、採用されたのはC〜Fの60年代中期の一部のモデルと、MA-1が正式採用されてからしばらく経ってからのことでした。
採用の理由としては、パイロットが脱出、墜落した際に、裏返して着ることで救助隊からの視認性を高めとされています。
しかし、オレンジ色は目立ちすぎるとのことで、Gからは再びジャケットと同系色のライニングが使用されることとなります。
ミルスペック | アウターシェル | ライニング | オキシジェンタブと コードループ | ウィンドストッパーの 形状 | ポケットのフラップ |
---|---|---|---|---|---|
MIL-J-8279 | セージグリーン | グレー | 有り | 角 | 無し |
MIL-J-8279 A | セージグリーン | グレー | 有り | 丸 | 無し |
MIL-J-8279 B | セージグリーン | グレー | 無し | 丸 | 無し |
MIL-J-8279 C | セージグリーン | グレー / オレンジ | 無し | 丸 | 無し |
MIL-J-8279 D | セージグリーン | オレンジ | 無し | 丸 | 無し |
MIL-J-8279 E | セージグリーン | グレー / オレンジ | 無し | 丸 | 有り |
MIL-J-8279 F | セージグリーン | グレー / オレンジ | 無し | 丸 | 有り |
MIL-J-8279 G | セージグリーン | グレー | 無し | 丸 | 有り |
オキシジェンタブとコードループ
MIL-J-8279Bから廃止。コードループはヘルメットに機内通話装置が付いたため廃止。
ウィンドストッパーの形状
MIL-J-8279は角形、それ以降は丸型に変更。顎への干渉を防ぐため。
ポケットのフラップ
MIL-J-8279Eからフラップが採用。単純にポケットに入れた物の脱落を防ぐため。
【Main Parts Of Nylon Jacket】ナイロンジャケットを構成する主要パーツ
アウターシェルとインナーシェルに用いられ ているナイロンは、米国デュポン社が1939年、満を持して発表した化学繊維。
【石炭・ 水・空気から作られ、クモの巣のように細く、鋼鉄のように強い】と形容され、皮革以降のフライトジャケット素材の代表格として永きにわたり君臨しました。
使用されるナイロンの糸番手、縦横の組織は、すべてMIL規格によってそれぞれのジャケットごとに指定されていました。
陰の主役と言えるのが、コットンをベースに未着色のウールを織り込んでいく【ウールパイル】です。
羊毛の持つ保温性に、通気性と通温性が加味された最高のインナー素材としてナイロンとともに30年以上も採用されました。
その後軽量な化繊シンセティック・ファイバーに変更されていきますが、初期の重いフライトジャケットの中身はウールパイルであり、その着心地は独特の安心感を醸し出しています。
ライトゾーン・ナイロンフライトジャケットのライニングは、ナイロンまたはレーヨンにウールを二重織りしたナップバック (裏起毛したもの)素材です。
ナップバック側を裏使いすればインナーになり、表使いすればハンドウォーマポケットの袋地となります。
フロント、スリーブのジッパーは合衆国連邦規格である【V-F-106】に合致しているものを使用。
その内容は、インターロック機構を持ち、コットンとナイロンで織られたテープにカビ防止が施されているもの。
ニットパーツ:【MIL-C-3735】 に従ったカラー(襟)、リスト (袖口)、ウエストバンド(裾)は100%ウール。
ファスナーボタン:【MIL-F-10884】 仕様に合致したもの。キャップはメインマテリアルと同色または黒仕上げ。
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