
本日ご紹介するのは、Willis & GeigerのB-3です。
Bomberを略した“B”の文字が付いていることからもわかるように、このジャケットは極めて寒い高高度、いわゆるヘビーゾーン(‐10℃〜-30℃)を飛行する爆撃手のためにデザインされたフライトジャケットです。
それではスペックを確認していきましょう。

ぺたです。X、Instagramはゆるく更新。オークションでコレクションを放出中。時々1円スタートも。人気記事:レザーのメンテナンス
【Willis & Geiger】 ウィリス&ガイガー


1902年北極探検家ベン・ウィリスによって創設された本格アウトドアブランド。
登山や撮影を目的としたアンデス探検隊に独自デザインを起す。
1930年代に、アメリカ東海岸の上流階級の間で、サファリ旅行がブームになった際に、いち早くサファリクロージングを発売。
当時非常に人気の高かったN.Yにある富裕層の為の高級ハンティングショップAbercrombie & FitchのOEM生産を受けるようになった。
またアメリカ軍からの要請でパイロット達の防寒性の高い飛行服をも手がけるようになり、更にブランドステイタスを上げていった。
【History】 歴史


Willis & Geiger社は、探検、航空、軍事などさまざまな分野で活躍した衣料メーカーです。
その歴史は、20世紀初頭から現代に至るまで、数々の偉業や冒険を支えてきました。
1902年
探検家ベン・ウィリスが北極地帯の鉱脈探査用の衣類を開発し、「ザ・ウィリスカンパニー」を創立。これがWillis & Geiger社の始まりです。
1908年
第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトのアラスカ探検およびアフリカ探検の装備を提供。探検家や冒険家にとって信頼できる衣料メーカーとしての地位を確立しました。
1917~1918年
第1次世界大戦中、アメリカ航空隊やアルプス山岳隊に衣料を供給。戦時中もその品質が高く評価されました。
1928年
実業家ハワード・ガイガーが経営に参加し、Willis & Geiger社が正式に設立。飛行服を中心とした防寒衣料の開発・製造に力を入れ始めます。
1926~1929年
海軍飛行士バード大将の南極探検飛行で、Willis & Geiger社のフライトスーツの優秀性が実証されました。これをきっかけに、アメリカ海軍の全天候型飛行服の開発が始まります。
1927年
チャールズ・リンドバーグの大西洋単独飛行の衣料を製造。歴史的な偉業を支えた一因として、Willis & Geiger社の技術が貢献しました。
1930年代
飛行の先駆者たち、ジム・ドゥリトル、アメリア・アーハルト、ロスコ・ターナーに飛行服を提供。航空業界の発展に大きく寄与しました。
1931年
アメリカ陸軍航空隊のフライトジャケットがWillis & Geiger社製の規格で統一され、「A-2タイプフライトジャケット」が誕生。このジャケットは、後に軍用フライトジャケットの代名詞となります。
1932年
サファリ探検用衣類のための新素材「340コットン・ブッシュ・ポプリン」を開発。大取引先であるアパークロンビー&フィッチ社の依頼により完成しました。
1936年
作家アーネスト・ヘミングウェイがサファリジャケットを注文。Willis & Geiger社の衣料は、文学界の巨匠にも愛用されました。
1939年
第2次世界大戦が勃発すると、中国政府はアメリカ義勇軍「フライングタイガー」の装備としてWillis & Geigerの飛行服を購入。その品質と機能性が再び証明されました。
1941~1945年
軍用特需メーカーとして、飛行服および飛行装備一式を受注・生産。戦時中もその技術力を発揮しました。
1950~1953年
朝鮮戦争中、再び軍用特需メーカーとして活躍。同時に、第2次大戦後のアメリカ国内での探検ブームに対応し、探検用衣料の開発を続けました。
1953年
エドムンド・ヒラリーのエベレスト登頂装備を請け負う。また、映画「モガンボ」でクラーク・ゲーブルとグレース・ケリーが着用した衣装を提供。340コットンポプリンを使用した衣装が注目を集めました。
1970年代~
TV番組「野生の王国」のMCジム・ファーラーに衣装を提供。テレビを通じて、Willis & Geiger社の衣料が一般にも広く知られるようになりました。
1988年
アメリカ空軍用A-2フライトジャケットの再スペックを開始。伝統のA-2ジャケットが現代の技術で進化しました。
1992年
シエラクラブ100周年記念のアパラチア山脈縦走装備を担当。また、第1回世界一周飛行レースにフライトスーツを提供し、航空界での存在感を示しました。
Willis & Geiger社は、探検家、軍人、パイロット、そして映画スターたちに愛され、その歴史はまさに20世紀の冒険と革新の歴史そのものです。
その衣料は、過酷な環境下でも人々を支え続けてきました。
B-3 90s Willis & Geiger




- 製造年:1990年代
- メインマテリアル:シープスキン
- サイズ:36
- 実測値(素人採寸の為、多少の誤差あり)
肩幅:52cm
身幅:55cm
着丈:67cm
袖丈:64cm
※不確かな情報は掲載しないように心がけておりますが、もし間違った情報に気づかれた方はコメント欄より教えていただけると幸いです。
【Detail】ディテール


B-3といえばムートン。ヘビーゾーンと呼ばれる-10℃〜-30℃での使用を想定したジャケット。
指で触れると軽く埋もれるほど嵩高性が高くフカフカです。


時にはスタンドカラーにして使用も。
ヘビーゾーンでの使用を想定して作られたB-3は、こんな風に防寒性を高めることができる仕様。


使わないときはベルトループで収納可能。
ちなみにこの襟ベルトの剣先が、B-3によって異なる場合も↓






ベルトつながりで、身幅調節用のベルトが腰にも縫い付けられています。


マッコイズのB-3に使用されているレザーと比較すると、やや薄い印象。


パイロットの動きを想定して、袖は前振りに付けられています。


両肩先にはオフィサーランクタブと呼ばれる階級章取り付けるための正方形に近いレザーパーツが。
階級や所属部隊によって肩章の形は変わりますが、その一例がこちら↓






両袖ともに馬革で補強。


パッチポケットはグローブをしていても手が入れやすいように、フラップなどは付いていません。
ハンドウォーマーではなく、マップなど作戦に必要な書類を入れるために取り付けられたポケットです。


後ろ身頃は三分割されています。これは後期型の特徴で、原料不足によるもの。
二分割のB-3も存在します↓






このフカフカのムートンに首から袖先まで包まれます。


ラベルは首裏ではなく、右見頃の内側に縫い付けられています。
TYPE B-3
DWG. NO. 33H 5595
A.C. ORDER NO. W535AC-17756
WILLIS & GEIGER INC.
NEW YORK. N.Y.


ジッパーはスコービル社の真鍮製。レザーの引きタブ付き。
【Accessories】付属品




【What is B-3】B-3とは


B-3は第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空隊(USAAF)のパイロットが、ヘビーゾーンといわれる-10℃〜-30℃の寒冷地での飛行に備えて着用するために開発された航空服です。
主にシープスキン(羊革)と羊毛のライニングで作られているのが特徴で、これらの素材は寒冷な環境で十分な保温性を提供し、パイロットが驚くような寒さから身を守るのに適しています。


基本はA-3トラウザースと共に着用し、1934年5月8日 U.S.ARMY AIR CORPSによって正式採用されました。
B-3は兵士達の意見やテストの結果、型紙の改正はもちろん、それぞれのパーツの毛足の長さまでモ二ターをとり、文字どおり進化していきました。
そして、1930年代の終わりにはボディの表面処理が大きく変更されることとなります。


それまでのB-3は革自体はスムースで、しなやかなムートンですが着色のみの表面では、水分やガソリン、オイルそして汚れなどの影響を受けやすいとの欠点がありました。
それを解決するために考案されたのが表面をまるごとコーティングしてしまう方法です。
まず、下地剤を塗布した表面にシールブラウン色のポリアクリルの革塗料をスプレー吹きし、最後にはラッカーを吹き付けて仕上げます。
これにより、革へのダメージを最小におさえるコーティングが完成しました。
この方法は自然な仕上げに比べて重量が増す代わりに、耐久性は数段優れていました。


また、左右の裾と衿の後ろに縫い付けられた分厚いベルトとバックルは、寒風をシャットアウトする際にグローブをはめたままでも調節できるように考案されています。


他にも、確実に取り外しができるドットボタンや、両腕の充て革、チャートやブリーフィングシートを入れるパッチポケット、パーツによって違う長さにカッティングされた毛足など、オリジナルスベックは当時の開発スタッフの英知の賜物でした。
オリジナルのB-3は大戦中 【空飛ぶ戦闘服】として大空を舞台に大活躍をしたのです。
B-3はA-2とともに、彼らのシンボリズムジャケットとして愛用されていましたが、1943年海軍との共同標準化を狙い採用されたAN-J-4ジャケットにバトンタッチすることになります。
ちなみに、B-3の中でも背中が二分割されているものは前期型、三分割されているものは後期型に当たります。




【Pre Care】新品のB-3をこなれた感じに演出する方法
まず新品状態で、一度オイルを塗ります。 全体が柔らかくなるまで各部を揉みほぐします。袖に腕を通し、動かして何度も折りジワをつけます。
取り付けられたそれぞれのパーツのコバ (革の切断面の白い地色が見える部分)には、オイルや適当な色の靴墨などを塗ります。


これだけの作業ですが、何度か繰り返しますと新品のB-3が見違えるほどこなれた風合いになります。
ただし程々に。
How to make your B-3 jacket a little worn out stylishly before the coming winter
Rub oil into the whole leather part of your brand-new B-3 jacket once.
Then crumple the leather until it becomes soft.
Wear the jacket and move its sleeves many times to make a crease.
For the parts installed (where the white ground on the cross section of the leather can be seen), apply oil or shoe polish of a proper color to those parts.
That’s all.
Repeating the above procedure makes your brand-new B-3 jacket so worn out that anybody hardly recognizes it.
But don’t do that too much!
Remember that this is a rough-and-ready way.
Natural “worn-out” feeling is proportional to the time when you wear the jacket actually.
【Maintenance】B-3のメンテナンス


通常使用では特に神経質になる必要はありませんが、時々はボディの埃や汚れを柔らかいブラシか布で軽く払ってください。
ウールの側は表側より頻繁にブラッシングしてください。
汚れが目立ちはじめたら、染み抜き用のベンジンを布にたらし、軽く叩くようにつけます。
汚れが浮いてきたら拭い取るときれいになります。


マッコイズのB-3は協力なコーティングを施してありますが、雨や水に濡れた場合は、タオル等で軽く叩くようにして、水分を取り除いてください。
ひどく濡れてしまった場合は、吸湿性の良いタオル等で全 体の水気を吸い取り、形を整えてから通気性の良い所で陰干しして下さい。
もし、カビが生えてしまった場合は早めに濡らした布を堅く絞って拭い取ってください。
革には革自体が本来持っている脂と、鞣しの時に加えられる油分があります。
革がいつもベストコンディションでいるためには適度な油分補給が必要です。
手の平に延ばしたオイルを薄く全体塗り延ばしてください。
ただしベルトの裏側に直接塗ると色が濃くなるので注意してください。
オイルを塗り終えたら、そのまま通気性の良いところで、一昼夜ほど置き、翌日余分なオイルを布で拭き取ってください。
水に濡れてしまった場合の油分補給は、完全に乾ききらないうちにやや多めにオイルを塗ってください。
パーツにはホースオイルそしてボディ本体にはシープオイルをお勧めします。


How does your B-3 jacket make good wearing? It is not too much to say that depends on maintenance.
Usually, you do not have to be too sensitive about your jacket.
Sometimes you are expected to wipe away dust with a soft cloth or brush.
Especially, brush the rear aide of the jacket more frequently.
If your jacket begins to show the dirt, dip a cloth into benzine for stain removal and hit the jacket with that cloth lightly.
If the stains have begun to be removed from the jacket, wipe them away.
The B-3 in coated strong.
If you have got the jacket wet in the rain or snow, however, wipe away water or rain drops by hitting the jacket lightly with a towel or something like that.
Then fix the jacket and dry it in the shade at a well-ventilated place.
If the jacket gets moldy, wipe away the mold with a damp cloth.
Any leather contains its own fat and the oil content coated in the tanning process.
To keep the leather condition best, it is necessary to apply an appropriate amount of oil to the leather.
Apply a thin coat of oil to the whole leather by hand.
Remember that direct coating on the rear side of the belt will darken the leather.
After oil coating, leave the Jacket at a well-ventilated place all day long and wipe the extra oil off on the following day.
For wet parts of the Jacket, apply a little larger amount of oil to those parts before the jacket dries up.
We recommend you to use horse oil for the jacket parts and sheep oil for the jacket itself.
【Cleaning】クリーニング


AAFマークに確実にダメージをあたえるのであまりおすすめしませんが、もし出される場合は信用のおけるクリーニング店へご相談ください。


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